「学習」も「高速道路」に乗って

梅田望夫・英語で読むITトレンド]インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞の話。
これはもともと、伊藤直也氏のエントリー、インターネット時代のエンジニアの価値にある話の元ネタです。


伊藤氏はソフトエンジニアが、ネットの発達によって、他人の書いたソースコード(多分、コンピュータソフトのプログラムのこと、と言っていいと思いますが)を読むことができることになって、急激にレベルアップするようになった、という話です。昔から、ソースコードは秘密中の秘密で、例えばウィンドウズ自体のソースなんて見れないわけですが、オープンソースという、ソフトを世界中の人がボランティアで作成し、ただでみんなが使うような動きができると、そうしたソースが見れる、さらに検索すれば、ネット上にいくらでもソースが蓄積されている状況な訳ですね。
こうなると、世界中の一線級のコンピュータエンジニアの書いたプログラムを直接読んで勉強できるわけで、一気に世界レベルのプログラムを書けるようになる(ところまで勉強できる)という話です。これを「学習の高速道路」と呼ぶわけです。


で、元ネタですが、梅田さんが最初に高速道路といったらしいのですが、その元は将棋の羽生善治さんだというのが面白い!


要は「情報の整理のされ方と行き渡り具合の凄さ・迅速さ(序盤の定跡の整備、最先端の局面についての研究内容の瞬時の共有化、終盤のパターン化や計算方法の考え方など)」と「24時間365日、どこに住んでいようと、インターネット(例、将棋倶楽部24)を介して、強敵との対局機会を常に持つことができる」という2つの要素によって、将棋の勉強の仕方が全く変わってしまった。そしてそれによって、将棋の勉強に没頭しさえすれば、昔と比べて圧倒的に速いスピードで、かなりのレベルまで強くなることができるようになった。そこが将棋の世界で起きているいちばん大きな変化なのだ、と彼は言った。
つまり、将棋に関する過去のあらゆる「知」がネット上に蓄積され、それを元に多分過去の名場面の対局を再現できて、それを学べるんでしょうね、加えて、実際の対局もできる。これで、あっという間に「奨励会2段」まで上り詰める人がたくさんいるのだそうです。


将棋、コンピュータエンジニア。それだけじゃないですね。学術世界でも、最新の論文がいくらでも読める。実験や調査をやらないですむ学問領域では、ネット上で他の論文を勉強することだけで、いくらでも新しい論文が書けますね。


MIT(マサチューセッツ工科大学)の授業はあらかたネット上で勉強することができます(英語ができないと駄目ですが)。自覚するか否かにかかわらず、私たちの周りには高速道路がびゅんびゅん通っていることは確実。その上に乗っていくか、橋桁の下をとぼとぼ歩いているか、違いは銀河系の内と外くらいになりそうですね。