「詩ボク」、知ってます?

quelo42006-01-03



「シボク」と聞くと、何だかキリスト教用語のようですが、「詩のボクシング大会」の略。創作詩を2人で朗読し合い、審査員がそれを聞いて勝敗を判定して勝ち抜いていく大会です。昨年10月、東京・イイノホールで第5回の全国大会が開かれました(第5回全国大会の写真はこちらで見られます)。上の公式HPからの説明では以下のようになります。

詩のボクシング」は、ボクシングリングに見 立てたリング上で、2人の朗読ボクサーが交互に自作を身体全身を使って朗読し、どちらの朗読がより観客に届いたかをジャッジが判定する「言葉のスポー ツ」、「言葉の格闘技」です。

私の友人、四国の中ちゃんが今回地区予選を勝ち残り、見事栄えある全国大会の16人の1人として登場しました! すごい! で、その模様は昨年12月と正月にNHKBS2で放送されました(もう、このあとの再放送は今のところ確認できず・・・)。残念ながら中ちゃんは2回戦で姿を消しました。北海道大会から来た青年がチャンピオンに輝きました。この朗読詩自体の思想については、楠かつのり『詩のボクシング 声と言葉のスポーツ』にも詳しく書かれています。


さて、今回、実際のバトルはほぼ初めて見た私の印象ですが、けっこう、詩の内容が朗読者の年代やら状況で多岐にわたって、まあつまり、けっこうばらばらやなぁ、という感じがすごくしました。私の“詩”の理解が、多分古い・ずれてるんでしょうが、詩というよりは自分史・身辺雑記的なもの、ルポ系の報道性のあるもの、はたまた感性びんびんものと、また、シリアスハードコアものから、ノリノリお調子ものまで、かなり違ってる。これに朗読する時のパフォーマンスが加わるので、ほんとにいろいろですよ。


これを1対1で対戦して、判定するわけなので、おっつけ基準は好み以外の何ものでもない感じ。難しいですね、文字通り甲乙つけがたいという感じでした。中ちゃんが敗れた2回戦も、私は相手の朗読には何も感じなくて、別に面白くも何ともないと思った。逆に、勝った1回戦の方が中ちゃん、ちょっとやばかったんじゃないかと思ったくらい相手も面白く、この2回戦はひいき目でもないと思うんです。障碍者へのセックスボランティアについて語った詩、パンチあったなぁ。1回戦も審査員の詩人の方(名前、忘れた…)のコメント通り、自分でない他人の気持ちをみんなに豊かに伝えた詩には引き込まれました。


同じく2回戦で敗れた高校生のあゆみさんは、自分の感性がよく表れた詩を、音律を細かくつくって、ときどきそれを崩して、ほんとに歌うように素敵な詩を朗読したんですが、これも惜敗。人間の感覚って、やっぱりその人の立ち位置を反映するので、とくに芸術については「好き」か「きらい」しかないですね。どっちがより公平なジャッジかは分からない。・・・というように思っている自分に気がついて、朗読される詩を楽しむと同時に、こうした芸術領域を読み解き、判断しなければならない立場は、大変だなと。宗教領域も、こういうことよくある。別に判断する必要がなく、多様性をそのまま生かせばいいのだけれど。ときに「甲乙つける」ことが要求される場面もあって。アートの領域=宗教性や神秘性、これを大切にしていきたいのです。理屈っぽいオチになって恐縮ですが。