アメリカのこわ〜い話

quelo42006-03-25



今日は、アメリカ政府の赤字について。JMM [Japan Mail Media] No.367 Extra Edition(2006年3月25日)から、ワシントン、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院の村上博美さん「From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.39」を紹介したいと思います。


クライド・プレストウィッツという共和党の政府高官のがその近著で合衆国がどれほどの赤字を抱えているかに警告を発しています。

「ドルの価値が半分になったら、日本はどうするのかな」
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「それはつまり、日本の持っているドル資産が半減するだけでなく、アメリカの軍事力が縮小し米軍が日本周辺を守ることもできなくなるということだ」と今後6、7年以内にドルの暴落を含む国際経済危機が起こる可能性について刺激的に語るのはクライド・プレストウィツ氏である。


 インド・中国の台頭ともあわせて、アメリカの相対的な衰退に危機感を持つ本がいくつか売れている。ちょうど日本語版が発売になるのでプレストウィッツ氏による『東西逆転 アジア・30億人の資本主義者たち』をご紹介しよう。私の上司でもあったのでその人となりもあわせてJMMの読者にご紹介したい。


 氏は17年前に『日米逆転』という本を書いたので覚えておられる方もいらっしゃるかと思うが、レーガン政権で日米通商摩擦の交渉を担当していた人物である。その当時、「君の仕事はこの膨大な250億ドルの貿易赤字を減らすことだ」と商務長官からいわれたそうだが、今日では増えに増えて8000億ドル、米GDPの6.4%という前代未聞のレベルに達している。財政赤字もふくらんでおり、「アメリカ経済は外国からの資金流入という生命維持装置に依存しなければ生きていけない状態で、ある時点で持ちこたえられなくなる」と警告する。

つまり世界経済は合衆国の借金漬けの消費によって維持されていて、「現実は未だにアメリカが世界で唯一の消費超国である」のだと言っています。「既に世界の貯蓄のうち約80%を使っているアメリカ」の負債もここまで来ると限りがあるわけで、これによってドルの信用に影が差すとき、世界経済が大混乱になる恐れがある、というお話。


さらに怖いことには、合衆国の産業は既に空洞化が進み、生産能力もなく輸出するものもない、ハイテクやサービス業すら中国やインドへ移転しているというのです。既に高度経済成長時代に突入した中国とインド、さらに旧ソ連諸国が安価な労働力と既に高いスキルを身につけてきている科学者やエンジニアを備え、日欧米各国は競争力でかなり不利な立場に追いやられているわけです。こうした状況でドルが暴落したらどんな危機になるか?!かなりこわ〜い話であります。