勇気ある報道

quelo42006-09-14



今日、J-WaveのJam The Worldで、次のようなニュースが読み上げられました。

植草一秀容疑者、痴漢容疑で逮捕 2006/09/14
おととし、女子高生のスカートの中を手鏡でのぞこうとして逮捕された元早稲田大学大学院教授で名古屋商科大学大学院客員教授植草一秀容疑者45歳が昨日、京浜急行の電車の中で、女子高生のスカートの中に手を入れ、下半身を触ったとして逮捕されました。女子高生が「やめてください」と声を上げ、乗客らが取り押さえたもので、植草容疑者は「酒を飲んでいて覚えていない」と供述しています。

まあ、普通の反応は、「またかぁ〜」ですね。野村総研のチーフエコノミストで、12チャンネルの解説でならした後、早大大学院教授になった植草氏の転落の顛末、という感じでしょうか。


ところがこの日のナビゲーターの内田誠さん、次のような“陰謀説”を披露したのです。つまり、彼が以前に手鏡でスカートの中をのぞいたとして逮捕された時、その前に小泉政権の経済政策を批判しており、いわゆる“小泉改革”によって経済が悪化し始めていたのを、途中でそれを止めたことで何とか持ち直したことが景気回復したように見えただけ、と主張していたというのです。そこで、こうして言われることを嫌った何者かに陥れられたのだ、と涙ながらに主張していた同僚エコノミストがいた、という話を披露しました。
これ、On Airで話すの、けっこう勇気が要ったと思います。「何妄想言ってんだ」と言う人もいるでしょう。でも第3世界で生活をしたことのある人間なら、政権がやる気になったら人権も人の命も軽いものである体験はいくらでもしたはずです。


内田氏は、「これは陰謀だ」と言ったわけではなく、「陰謀説を主張している人もいるが、少なくとも、植草氏が残した小泉政策への批判は肝に銘じるべきだ」と言っただけ、とも言えますが、こうしたことを、ある格率の判断材料をもって、世間に伝えていくのが、なにがしかの形でメディアに関わるものの使命だなぁ、とあらためて感じるのでした。
それにしても、政権批判をする著名人が陥れられたり、先日の加藤紘一邸が放火されるようなことが繰り返すと、だんだんとリベラルが萎縮してしまう。日本の未来は早々に本当に暗い方向に向いてしまうと心配になります。