日経新聞の電子化という話

quelo42010-03-04



 日経新聞が電子版を出すことがニュースになりましたが、その評価として、ネガティブなものもありますが、このあたりかな、と思われるようなエントリーがあります。c|net「日経電子新聞は“失敗の成功”かも」nuwande

仕組みそのもの

 ただ、価格を除いてサービスそのものについては、非常に期待できると思う。クリッピングやそれに合わせた記事のリコメンドも、使い勝手は良さそうに見えた。全記事をXML化してDB格納したことも、今後の展開を考える上で、独自資産として強みを発揮していくように思う。ただ、紙面がそのままWebでも見られますってのは、どうなんだろう・・・。


重要な資源

 なにはともあれ今回、仮に1万人程度しか有料会員としてサインアップしなかったとしたら、おそらく事業としては失敗なんだろう。だけど、あまり戦略的とは言えないプライシングでも、1万人もお金を払う人たちがいるという実績は、大きな成果になると思う。

 また、こういうのは仕組み(サーバやCMS、DBなど)を導入すればコピー完了というものではなく、根底を流れるコンセプトが肝になる。血と汗を流した日経新聞社内の(おそらくギークな)電子新聞発行を進めた人たちこそが、重要な資産となる。


失敗の成功

 というわけで、もし本当に「紙の新聞ネットワークや商流、しがらみを守りたい抵抗派」が日経新聞社内にいたとして、もし万が一「プライシングによって失敗を誘引した」とすると、思惑通りの失敗となるかもしれないけれど、このプロジェクトに真っ向勝負した人たちは、素晴らしい経験を積まれているわけなので、やっぱり「成功」なんだと思う。

 そしてこれが「成功」だってのは、実行した人やそうしようとしている人にしか理解できない。 という意味で、今回の電子新聞ラウンチという「実行」は、ひとつのターニングポイントになるように思っている。

 値段が高いので、自分個人は買わない、というものの、これをやった、という社内の人たちの経験こそ宝、ということです。
 これ、分かるなぁ、と思います。うちの新聞ではこうした取り組みはストップされているので、この「経験こそ宝」が積めないわけです。まあ、全体人手不足ですから、適切な判断、と言えなくもないのですが。