韓国、新聞とネット事情

朝日新聞のサイトに、韓国の全国紙が、新興のネット新聞の交流にどう対抗していったか、その他の要因の合わせていかに変革を遂げたかの詳しい分析が載っています。朝日新聞アジアネットワーク:内山 眞、朝日新聞総合研究本部主任研究員「インターネット新聞攻勢に揺れる韓国新聞界:紙同士の競争も激しく近未来の日本先取り」

「オ−マイニュース」をはじめ、インターネット新聞が盛んになったことで、全国紙大手と政権との癒着とも取れるなあなあ奈関係に緊張感が生まれ、記者クラブも開放され、一方で、朝鮮日報中央日報東亜日報の主要3紙もネットサイトを充実、元々の取材陣と資本力を発揮して、速報性と双方向性でネット新聞に対し反転攻勢をかけているようです。新聞でするより先にネットにニュースを流したり、記名記事を中心にすることで、読者からの反応がぐっと増えて記事への反応がよくなったりと、様々な副次効果もあるようです。

一方で、そういった意味ではほとんど何も変わっていない日本の新聞については以下のような比較が興味深いものです。


インターネット新聞への対抗上自社サイトの内容を飛躍的に強化するのはいいが、サイトが充実しすぎては読者が紙の新聞を購読する必要がなくなってしまうのではないか。ただでさえ進んでいる若者層の活字離れを自ら加速してしまう恐れもある。日本の新聞を取りまく状況を考えると、こうした疑問に突きあたるが、韓国の新聞人からはこうした設問の仕方自体を「おかしい」とする反応がしばしばあった。

中央日報ではサイト強化のねらいを「活字離れした若い層をこちらにもう一度引きつけるため。もし紙にこだわってインターネット部門を強化せずにいたら、中央日報自体や新聞全体の影響力低下につながり、さらに読者を失う」と説明する。日本の新聞がサイト強化に及び腰であることに共感はなく、「日本は保守的に見える。韓国の新聞社の方が変化に速く対応しようとしている」と、日韓の対応の差を分析した。防御や守勢に回ることなく、あくまで攻勢に出る韓国メディアの特質を示す反応といえるだろう。

東亜日報ではサイトのヒット数が予想をずっと上回り、紙媒体の購読者数も増加、増加分の3分の1はネット経由の申込だったようです。ちゃんとやれば、相乗効果が生まれるようです。
経済的な面では、ネット自体で黒字化するのは難しいようですが、検索など、有料化してそこそこの収入を得つつ、広告を取るという方式のようです。

新聞製作の主な変化としては、朝刊化(主要紙はもともと夕刊紙だった)、横組み、多セクション刷り、カラー拡大といったところのようです。この変化への着手の早晩が、現在の3紙の販売状況に影響を及ぼしてもいるようです。

韓国の新聞に対しては、日本は常に一歩先を言っている、という状況が続いていたようですが、いまではすっかり状況は逆転し、以上のような変化は「日本なら20,30年かかる」と思われるもののようです。組織が大きく方向転換するのは難し訳ですが、どこまで、上のように一生懸命取り組み続けられるかのような気がします。