「去年の」写真と、「合成」写真、どっちが悪い!?

quelo42005-11-14



ちょっと古いのですが、2つの、“偽”記事について、大変思い入れがあるので書いておきます。
(なんか、こんな感じ)


1つ目は、埼玉新聞(以下、読売新聞の記事から)。昨年の資料を基に、体育祭の記事を掲載したところ、実は雨でことしの体育祭は中止されていた!!話。

中止の体育祭「開催」記事、昨年の写真も…埼玉新聞
 埼玉新聞社(本社・さいたま市)は、中止となった体育祭が開催されたとする記事を掲載したとして、野口晴久編集局長を更迭するとともに、丸山晃社長の編集主幹を解く人事と、おわびを3日付の紙面に掲載した。


 記事を執筆した県東総局の男性記者(29)は依願退職した。後任の編集局長には細田孟(つとむ)編集局総務が就任した。
 同社は、10月22日付朝刊の地域版で、同9日に予定されていた同県杉戸町の町民体育祭が、実際には雨で中止になったにもかかわらず、開催されたとする記事を写真とともに掲載した。記事には“参加者”の談話も添えてあった。


 同社によると、男性記者は、杉戸町が事前に配布した体育祭の資料をもとに記事を執筆した。開催されたかどうかを確認しないまま、同時に配布された昨年の体育祭の写真とともに出稿。社内チェックもすり抜けて紙面に掲載されたという。
 同町職員からの指摘で、記事が虚偽であることが発覚。23日付紙面でおわびを掲載していた。
(2005年11月4日0時56分 読売新聞)

でも、こういうことって、あるんですねぇ。大手は別にして、中小新聞や専門紙、業界紙は、記者の人手が非常に限られているので、全部が全部、記者が現地に出向いて取材しているとは限らない。電話インタビューなんていい方で(それでもけっこう辛いんです、初対面<正確には、“初対面”でもない・・・会わないので>の人に声だけで話を引き出すのは)、資料だけ取り寄せて記事を書くことも多く、写真も取り寄せ。しかも年中行事で、“ありました!”ということを、とりあえず書くような記事も多く、そうなると去年の資料でも、一昨年の資料でも、記事なんていくらでも書けるもんね!!、ようなものも多々あるわけです。


実際、行く前に「予定稿」というのを書くので、例えば原爆の日、例えば京都お水取り・・・、なんて年中行事は、予定稿がそのまんまいける、場合が多いでしょうね。あとは当日の天気だけ。ところが今回、その天気こそが落とし穴だったわけ! これで20代の記者が依願退職とは、気の毒で仕方ない!


一方、産経新聞、合成写真の話。

産経新聞、合成写真の作製カメラマンを休職2カ月の処分
asahi.comトップ > 社会 > 事件・事故、2005年11月09日02時59分

 産経新聞社は8日、同社大阪本社発行の10月25日付夕刊に月をバックに舞うコウノトリの合成写真が掲載された問題で、パソコンを使って合成写真を作製した写真報道局の男性カメラマン(31)を休職2カ月の懲戒処分にしたと発表した。ほかの処分は、直接の上司にあたる同局部長と次長の2人が出勤停止1週間▽写真報道局長が減給▽編集・写真報道担当の取締役が減俸。同社大阪本社総合企画室は処分内容について「役員でつくる賞罰委員会が妥当と判断した結果」としている。

こっちの写真は、取材に行ったけどいい写真が撮れなかったカメラマンが、わざと合成して、それを知っていながら、夕刊ど真ん中にでかでかと月の前をコウノトリが飛んでいる写真を載せたんですよ!!! こんなのひどい! 中小なら、記者が写真も撮ってたりして、大変なんだ、ってんだ! だけどこちらは大手のプロのカメラマンじゃないか、それがわざと合成写真作って、堂々と出稿しやがって! それでもって休職2ヶ月ですよ。ひど〜〜い!


というわけで、私の友人は、埼玉新聞、ひどいねっ!って言ってましたけど、内実を知る私としては、深い同情を禁じ得ないのであります・・・・