南米は選挙の年

quelo42005-12-23



あまりニュースを追えていなかったんですが、気がついたらラテンアメリカはことしから来年にかけて選挙の年だとのこと。右の地図で解説してくれるBBCを見ても、多くの国で選挙が続くのが分かります。この中で、先週ボリビアでは初めての先住民族出身の大統領、エボ・モラレスが選ばれました。また、チリでも左派、ミシェル・バチェレット(ちょっと発音に自信がないんですが)が先々週の予備選でリードし、年明け1/15の決選投票に望みます。


各紙にでていますが、BBCの解説でも、ベネズエラのウゴ・サンチェス、ブラジルのルラなどとともに左派・反米〜嫌米政権が誕生していることが話題になっています。また、モラレス新大統領はコカの自由栽培を促進しようとしていて、この政策についても合衆国の反発を買っているようです。 "Analysis: Bolivia in for bumpy ride" By James Painter - BBC Latin America analyst (Last Updated: Monday, 19 December 2005, 17:34 GMT)


さて、私の感想としては、1)70年代から合衆国の傀儡で軍事政権がラ米を席巻し、左派、リベラル勢力を弾圧ないしは殲滅したおかげで、電話・電力・航空会社などの基幹産業が「民営化」という切り売りをされたり、貿易自由化で国内産業が壊滅したり、合衆国などにやらずぼったくりにあい続け、中流は滅び、貧富の差は広がるばかり。それがやっと21世紀に入ったあたりから反対勢力が回復してきたきざしかな、と思います。いいことです。
2)一方、「左派」と言っても南米にはいろいろあって、アルゼンチンのペロニスタは保守系政党とmismo mierda con otro olorと言われていて(ちょっとお下品なので訳しませんが)、90年代のメネム大統領も民衆の味方かというと、私腹を肥やし、そんなにほめられたものではありませんでした。やはり貧しい人々の味方だったはずのペルーのフジモリ大統領の評判が、結果的にそれほど芳しくないのもよく似ています。果たして、モラレス大統領は?
3)それでも、上のコカの栽培についても、ワシントンは表面的に、麻薬撲滅のためと喧伝していますが、実際南米にいると、大統領やら州知事が合衆国の資本とつるんで麻薬を密輸している、という話は数限りなく、ワシントンがコカの栽培に反対するのも、決して麻薬撲滅ではなく、自分たちのコントロール下に置きたいだけ、と思われます。
4)こうした状況にあって、モラレス大統領は、まだ開発が進んでいないボリビアの石油・ガス開発の利権を、どれだけ国民のために守れるか、欧米のメジャーのやらずぼったくりから護るかが腕の見せ所のようです。


それにしても、アボリヘナ(先住民族)が6割とも8割(残りが白人とメスチソ=混血)とも言われるボリビアで、これまで先住民族出身の大統領がでていなかったことはおかしく、BBCもかいているとおり、正に歴史的勝利、だと思います。