蛇の道は・・・。分かったようなこと言うメディアに踊らされちゃいけません

quelo42006-02-12



この話面白いですよ。【 nikkeibp.jp 今日のお勧めコラム 】2006年1月20日●ビジネススタイル/テレビは今、何をすべきか 民放の根幹を揺るがす、ある“深刻な”事態(2)〜ネットに軸足を移し始めた巨大広告主たち坂本 衛さんのコラム、最近、小川和久著「日本の『戦争力』」(アスコム刊)の聞き手役としても有名になった人です。内容は、

 「トヨタは北米でいちばん売れた車種のテレビCMを、一切打たなかったらしい」という話を前回書いた。
 これについて、事の真偽をトヨタ自動車東京本社広報部に確認すると、「サイオンという若者むけのストア・ブランドのことでしょう。車種はbB、イスト、北米でのみ販売しているものの三つで、これについてはネット上で情報発信し、口コミで広げていくという宣伝戦略をとっている。たいへん好調な売れ行きです。もっとも、テレビではないネットの情報発信が功を奏したのか、クルマそのものがいいから売れているのかは、よくわからない」とのこと。だから「いちばん売れた車種のCM」うんぬんは誤解だが、北米でネットだけに頼るクルマの売れ行きが、たいへんよいことは確かである。
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そしてもう一つ、日本を代表する家電メーカーでも民放テレビを震撼させる事態が進んでいる。松下電器産業が2005年12月10日〜19日の10日間、日本の地上放送で流される同社のテレビCMすべてを、異常が発生し死者まで出してしまった石油温風機に関する告知・ユーザーへの申し出の呼びかけ・お詫びの告知に差し替えたのである。

CMをまったく打たなかったのに、松下電器産業プラズマテレビビエラ」は年末、爆発的に売れた、ということを言ってます。つまり、テレビにおける広告効果が薄れていて、製造業がTVCMを打たなくなるのではないか、ひいては、テレビ各局のビジネスモデルが崩れていくのではないか、ということを書いているんです。


ついつい、「ほほぉ〜、な〜るほどぉ」と思っていたのですが、これがとんでもないこと! さすが日経、コメントをきっちり書き込めるわけですね。ここで的確にバランスがとられています。


コメントの玉石混淆の中に、けっこう「ご専門」のみなさんもカキコしてるんですねぇ。第1回の方(おおまかに、最近テレビのCMを見てものを買うことが減った、むしろインターネットのCMを見て自分は買い物をしている、というコラム)へのコメントに以下のようなものが書き込まれています。

DELLのTVCMを見たことが無いと言い切る筆者のコラムって信用できるのですか? ネットでも1分で確認できることなのに。この第1回の記事では、現代日本の普通の一般家庭の消費行動を並べただけで、「深刻な事態」とタイトルに銘打つ意味がわからない。TVCMの陳腐化はもう何年も前から言われていたことであり、しかも、「日本の放送」というシステムの中では、CMの陳腐化により一番の困窮をきたすのは、実は放送局ではない(無論消費者でもない)。第2回以降は、そういった内容に言及することを期待しつつ、「テレビ局のテレビ局による理論」の堤燈記事にならぬことを切望する。(無明、2006/01/13)


この記事に書いてあるようなことなど、大手企業の広告担当者ならば百も承知のことばかりです。そもそもマーケティングにおけるAIDMAの全てをテレビCMで賄えるなどと考えている人が存在するのでしょうか?
ただし、メディアミックスの重層化によってテレビCMの比重が相対的に下がってきているのは事実。「限界が見え始めた」のではなく、「現に見えていた限界値が低下してきた」とするのが正解です。(広告屋、2006/01/13)

実はコメントは113あって、「そうそう、テレビなんか見ないや、インターネットの時代だ!」という素朴な感想が多数派ですが、多分、上の2人は広告業界関係か、その周辺の人らしい。一方坂本さんは元『放送批評』編集長、だそうで、これが『広告批評』編集長、だったら、こうした懐の甘い記事は書かなかったんでしょうねぇ。


書き手が忙しくなったり、売れっ子になったりすると、「調べて書く」ことをしなくなって、いい加減な感想文を書く、「そんな気がする」的な、気楽な文章を書くようなことって、上から下まで、いろんな人が冒す危険のようです。我らも気をつけないと。どの領域にも専門家がいるんだから、よく知らないことは聞くなり、調べるなりしてから書かないと。さらっと書いて埋めたい!というのは誘惑には違いないんですけどね。あっさり信じちゃわないように、みなさん気をつけましょうねぇ。それにしてもこうした厳しいコメント、いいですねぇ。