「村おこし詐欺」の暗い話・・・ちょっと古い記事ですが

quelo42007-06-16



夕張市は春の地方選で新しい市長も決まり、少しずつ再建が始まっていることだと思いますが、まだまだみなさん苦労が続いていることでしょう。こうした弱い自治体こそ虫がたかって市の財政を食い物にされたわけで。夕張市の一件があって出た、他の村おこしに群がった詐欺師の上をいく政治家と土建屋さんのかなりえぐい話・・・こんなもんか、と思わされます。
地方の闇、詐偽師Xと夕張市、「三位一体改革」が最後のタガ外し、地方大暴走の恐れ(日経BP2007年2月21日)

 Xは「村おこしコーディネーター」という肩書きを作り、関係者を接待して「村おこしをやって、町を全国的に有名にしましょう」と、ハコモノ事業を売り込んだ。

 1年余り前、私は、Xが手がけたある農村のハコモノ施設を取材で訪れた。

 総事業費約18億円をかけた、温泉、露天風呂、マッサージ室、レストラン、喫茶店、大小宴会場、売店、農産物直売所などがある一大複合温泉施設であった。資金の大半は、過疎債と地方交付税を積み立てた「ふるさと基金」からで、村の一般会計からの拠出は2億円余りにすぎない。村は人口4000人ほどの過疎の村で、日中は通りにほとんど人影がない。墓と、刈り取ったあとの水田ばかりが目立つ、死者の町のような土地だった。村に不釣り合いな大温泉施設を見た瞬間、この施設は赤字だろうなあ、と思った。案の上、取材を進めると、開業初年度から赤字を垂れ流しているということだった。

 Xは施設運営の幹部に納まって、月給70万円余りを取った。それ以外に施設の内装工事や備品購入に関与した。すなわち、仲介して金を抜いていたと想像される。

ところがこの詐欺師Xよりも、村の村長やらそこに群がる土建屋さんたちの方がもっと凄かった!

 Xにとって計算外だったのは、「地方の闇」の深さであった。

 X以上に温泉施設を食い物にした連中がいたのである。土建屋の社長である村長と、その娘婿である別の土建屋だ。2人は、地域一帯の土木・建設工事の談合を仕切っており、村長は、村の公共工事の入札指名業者の名前を自筆で書き加え、地元のゴロである娘婿の方は、工事に群がってくる暴力団などを抑える役割をしていた。Xの手がけた温泉施設も、総工費のうち、5割強は大手ゼネコンが受注したが、それ以外のかなりの工事や備品の納入を村長の娘婿の会社が受注した。また、施設の警備・清掃は、警備・清掃業の実績がない村長の娘の会社が受注している。さらに、ゼネコンから村長に金が流れているとも言われる。

財政破綻の調査が進んだものの、議会は村長と一体なので自浄能力はなく、いろいろあって、最終的には警察が動くこととなり、村長も娘婿も市の担当者らも逮捕、という結末になったようです。さすがに詐欺師Xは市の書類を上手く自分に有利に作っていたらしく逮捕されたものの不起訴に。
地方の旧家にお嫁に行った東京のお嬢さんが、選挙のときに万札を一軒一軒に配って歩いているのを見てびっくりした、という話が、昭和のころに新聞に出てましたが、そんなの昔話と思っていると、ちょっと形を変えて、やってるところは、やってる、と思わされる、結構暗〜い話。