両極性障碍=躁うつになったらこんな感じ・・・
大変だなぁ、と思います。両極性障碍の実際の状況を、端的に自分の体験から語った記事です。(「私が体験した『躁うつ病』大切なのは家族の愛」NikkeiBP、2007年6月29日、ブルース・ホルコム)
私はうつっぽくなったわけですが、死なない限り、うつの状態の方がやっぱりまわりは楽。いったん躁になると、ひたすらダウンしてくるのを待つしかないようで。家族はほんとにしんどいでしょうね。(写真=ブルース・ホルコムさん)
病気の名前は双極性障害(bipolar disorder)といいます。一般的には躁うつ病と呼ばれています。厳密にいうと分裂病などのような精神病ではなく、気分障害に分類されるものです。常にこの人は病気であるという明確な症状や痛みがあるわけではないので、外から見て病気だとわかりにくい病気です。
しかし、躁うつ病患者の鬱状態と躁状態の行動は、家族あるいは近しい周りの人にとっては、まったく別人のように映ります。骨が折れていると同様に、感情が壊れてしまっているからです。本人にとっては、両方の気分がまったく違うと感じることはできても、両方が自分の一面であるために、自分をそこまで客観的に見ることができないのです。配偶者や恋人が、自分はまるで2人の別人と一緒にいると感じても、無理もないのです。
毎日の生活の事情によって、誰もが喜んだり悲しんだりして生きています。躁うつ病患者の場合は、気分が盛り上がる度合いと落ち込む度合いが、異常に強く、ハンパではないのです。そして本人は必ずしも気分の変化の原因について心当たりがなく、はっきり言って分からないのです。
原因は明確ではなく、遺伝的要素もあるものの、一卵性双生児で片方にだけ発症するという例も多いようです。
うつのときは、能率が著しく低下し、自殺する可能性も通常の人の10〜20倍になるようです。しかし躁のときも辛いようです。
うつ状態と対照的に、躁状態に転換して、気分が盛り上がってくると病識がなくなります。本人は自信過剰になって、スーパーマンになったような気分になります。なんでもできる、自分に不可能なんてないと本気で思います。多弁で極端に活動的になって、眠れないほどになります。一晩中起きていても平気で、次々と精力的に動き回ることができます。
過敏になって、泣きたくなるほど感情が高ぶってしまうことがよくあります。花を見て美しいと感じたり、音楽を聴いただけで涙が流れてしまいます。非常に短気になり、場合によっては乱暴な行動に繋がります。
ビュンビュンと音が聞こえるほどの勢いで、頭の中をいろんなアイディアが飛び回ります。話があっちこっちに飛ぶので、聞いている相手はなかなか話についていけません。浪費も伴います。無駄な投資をドカンとしたりする、あるいは正常なときには絶対買うはずのない、とんでもない高価な買い物をします。性欲も食欲も旺盛です。
この状態で一番困るのは家族と周りの人です。本人は、どちらかというと深い落ち込みから解放されて、強烈な幸福感と自信過剰でいっぱいです。一方、周りの人は別人のような相手の浪費、多動性や短気、突拍子もない支離滅裂な話などに対応しなければなりません。しかも本人は助言されても注意されてもなかなか耳を傾けないのです。
ホルコムさん自身、50歳を過ぎて躁うつ病を患い、苦労されたそうです。「細やかな調整をせずにパキシルを飲み続けたせい(私も飲んでる<こんな感じ>)で、今度はオーバーシュートして、とんでもない躁状態になってしまった」こともあったそうです。
でも、信頼できる精神科の医師を見つけて、「先生の細かい服量調整による気分安定剤と抗うつ剤の組み合わせで、気分の盛り上がりと落ち込みをある程度コントロールすることができます」。問題は、日本ではまだ精神科の病気になったことをオープンに話せないこと。私も最初、病気のことを話すのは人聞き悪いかと思いましたが、周りにもご同慶が多く、お互い支え合って、病気に対する一般人の理解が深まると、いいかな。