新聞も売り物で・・・

quelo42007-11-27



 むかし、臓器移植について書いた粟屋剛さんの『人体部品ビジネス 「臓器」商品化時代の現実』のあとがきに、もっとふつうに、臓器移植の実体、といったタイトルにしようと思ったら、編集者からだめ出しをくらい、結果、このタイトルに落ち着いた経緯を説明してました。「結局、書籍も商品だということをあらためて実感させられました」と、臓器も商品になっているというこの本のテーマに沿って、洒落ていました。

人体部品ビジネス―「臓器」商品化時代の現実 (講談社選書メチエ)

人体部品ビジネス―「臓器」商品化時代の現実 (講談社選書メチエ)

 我が新聞も、どうすりゃ売れるか、営業のみなさんを中心に鋭意検討中ですが、あ〜、やっぱりモノはこうして売るのね、と勇気をわかせる記事を一つ。Windons95の共同制作者としても有名な中島聡さんの講演から、「iPhone,ディズニーランド,スタバの共通点は?──人気ブログ<Life is beautiful>の中島氏が講演」です。

 中島氏は,「ディズニーランドと他の遊園地の一番の違いは『ユーザー・エクスペリエンス』」であるという。ユーザー・エクスペリエンスは日本語に変換しにくい言葉だが,中島氏はこれを「おもてなし」と訳す。ディズニーランドはメリーゴ−ランドがあるかないか,ジェットコースターの高低の落差は何メートルかといった個別の機能で勝負していない。「ディズニーランドは入った瞬間からエクスペリエンス(おもてなし)を感じられる場を作っている。すごく楽しくて,帰った後も思い出になる演出をしている」。


 中島氏によると,スターバックスコーヒー(スタバ)も同様であるという。「スターバックスのコーヒーはあまりおいしいとは思っていない。コーヒーの味はタリーズドトールの方がおいしい」。それでもスターバックスへ行くのは,ゆっくり座れるイスや店の音楽,香りなどの演出がある空間で時間を過ごすためだ。「スタバは単なるコーヒーの店ではなく,会社と家の間にある第3の空間を作り出している。スタバはコーヒーの味で勝負していない。トータルのユーザー・エクスペリエンスで勝負している。スタバは入った瞬間にスタバを感じられる」。


 このトータルな経験をどうやって読者にしてもらえるか、マスメディアではない専門紙だからこその取り組みが考えられるのかもしれません。


 そういえば、昨年インタビューしたeAccessの千本倖生氏が、雑誌『いきいき』のことを話してくださって、店頭で売らず、すべてが個別配送のこの雑誌の売り方で、住所データがあるために、通販や講演会などのイベント開催など、複合的な読者サービスで大成功をおさめていることを教えてくれました。こうした道がほんとに読者にとって実のある新聞になる道でしょうか。