「支配者になりたいだけ・・・」

quelo42009-06-20



 以下、日経の連載経済小説で、毎週読んでます。
 主人公の団さんが、倒産寸前の会社を盛り返していく話。前編で背任横領まがいのことをしていた専務ら一派を追放し、財務全般を握って辣腕をふるって会社再生に向かっているのですが、遂に会社の中で、孤立していってしまっているという状況に。団さんがいないと、とうに会社がつぶれていることは事実なのですが。【「熱血!会計物語 〜経理部長、団達也が行く」】第39話「あの強引さでは人はついてこない。彼はそれに気づいていない」

経理
 「あのキースとかいう弁護士、とんでもないやつだ」
 達也は腹の虫が治まらなかった。
 「オレはジェピーを乗っ取ろうなんて思ってなんかいない。この会社を破綻させたくない。その一心で頑張っているのに」
 (それにしても、なぜなんだろう)
 達也は腑に落ちないことがあった。1つは、尊敬する宇佐見がなぜあんな無礼な男と親友なのか。しかも、宇佐見は達也が電話をする前に、すでにキースと連絡を取っていたのだ。


 2つ目は、キースが達也のことをあまりによく知っているということだ。ジェピーで顰蹙を買い、社内で浮いているとも言っていた。達也自身、社内で孤立しているなどと思ったことは一度もない。自分がいるからジェピーが倒産しないで済んでいる。このことは事実だし、当然、社員からはリスペクトされるはずだ。
 「宇佐見先生のお友達になんて言われたのですか?」
 真理が聞いた。
 「『きみは真のリーダーではない。単にジェピーの支配者になりたいと思っているだけではないかな。だから、きみのことを快く思わない人間が増え続けるんだ』って言われたんだ。思い出すだけで腹が立つ」
 達也は自分が間違っているはずがないという表情で言った。だが、真理はじっと達也を見るだけで、達也に同調しなかった。
 「うちの会社の誰かがUEPCに情報を漏らしている。それもガセ情報をね」


 「部長、怒らないで聞いてください」
 突然、真理の表情が変わった。
 「誰がジェピーの情報を流しているかは知りません。でも、部長のことを快く思わない人が増えているのは事実です」
 その時、達也の頭にキースが言った次のフレーズが浮かんだ。
 <きみの一番大切な部下の心も離れてしまったのではないかな——>

 いやあ、「支配者になりたいだけ」というフレーズは、きっついですなあ。
 わが働いている事務所も、かなり人材にばらつきがあり、社会的にはけっこう効率の悪い組織だと思われます。したがって、私もこの上のような感じのことしているかな、と思い。
 決して、「支配者」になりたいわけじゃないんだけど、ないしは、私利私欲のために「支配者」になりたいわけじゃないけれど、会社を変えていくために大ナタ振るうためには、パワーが必要、というモードに入ることはあるな、と。ちょっと反省、でも仕方ないときもあるんじゃないかな、と思う。


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