「発表情報」を超えるところで

quelo42010-01-16



 毎日新聞が地方の支局をどんどん閉鎖して、地方紙と組んで記事を提供してもらうアレンジを進めているらしい。先週1月12日のの「クローズアップ現代」で立花隆とやっていた話。日本もいよいよメディアがつぶれる時代かなあと思わせるものでした。(もちろん、アメリカではバンバンつぶれていて、すでに新聞が1紙もない州が出て来ているらしい)
 ところでこのとき毎日新聞の社長が強調していた話。
 記者が減っていく中で、「発表報道だけする記者はいらない。毎日は、調査報道で行くんだ」ということ。そうだなぁ、記者クラブで発表されたものを書き出すだけだったら、サルでもできるもんなぁ、と思った人も多いことだろう。


 というわけで、この毎日社長とも呼応する話。田原総一朗が小沢さんの事件にも触れて、調査報道しないマスコミに苦言を呈しています。「悲観するな、『坂の上の雲』の中で迷う日本」

日本は今、面白い時代に入っている

 私は、日本はきっと「坂の上の雲」を突き破り、さらに上を目指すこともできると考えている。雲を突き破って進むのか、足元を見直すのかという選択を迫られるのは、明治以後初めてである。日本は今、そういう面白い時代に入っている。

 だがテレビや新聞などのメディアが、そういった面白いことには触れない。発表情報ばかり垂れ流している。

 発表情報とは何か。二つ、事例をあげよう。まずは小沢一郎さんの東京・世田谷の土地購入問題だ。小沢さんは今、余裕しゃくしゃくだ。一方の東京地検特捜部は必死だ。

 小沢さんの土地購入原資の4億円は、自由党時代のカネであるとも言われている。自由党が解党したとき、小沢さんの手元に政党助成金が残った。政党助成金は税金だから国に返さなくてはならないが、実はそういう法律がない。つまり違法ではない。したがって、小沢さんのカネが当時の政党助成金ならば、検察は小沢さんを起訴できないということになる。

 そして、もう一つは日本航空問題だ。国土交通省はもともと、自力での再建を進めようとしていた。だが、法的整理が進められることになり、会社更生法活用を前提に企業再生支援機構が支援することになった。このシナリオを推し進めたのは、実は財務省である。

 日本航空の再建には1兆円以上のお金がかかるが、その財源はどこにあるのか。実は、地方企業や中小企業の倒産時、それを救うための財源があり、そのお金を使うことにした。そういう知恵は国土交通省からは出てこない。財務省から出たものだ。


決して悲観することはない

 マスメディアはこうした情報をなかなか伝えない。発表情報ばかりで、「実は、これは……」と深く掘り下げた情報がない。新しい時代を切り開くには、表層的な情報など何の役にも立たないのである。

 「実は、これは……」と考えを進めれば、その先に大きな選択肢を見つけられ、この面白い時代を乗り切るためのアイデアが浮かんでくる。決して悲観することはない。雲の上に出るのか。下へ出るのか。日本は、今後、どちらへ進んだらいいのか。国民はもっと考え、議論すべきだ。

 悲観論に走る前に、もっと目を開かなくてはならない。私たちは今、そういう時代にいる。


 調査報道するには物量が必要。時間が掛かるし、裏取らないと批判ができない。公式発表があれば、その千で書いてる限り、誰からも文句言われない。言われたら、発表した「主催者」側に罪をなすりつけて、記者は手を洗えばいい。
 これをやるには、人手が掛かるので、金も掛かるんだなぁ。