早野透、「改革」と「戦争」への熱狂

今朝の朝刊(朝日、12/28、火)では、論説委員早野透がポリティカにっぽんで、坂野潤治『昭和史の決定的瞬間』(ちくま新書)に言及し、「改革」と「戦争」への熱狂はセットでやって来る、という話を紹介しています。早野氏が坂野氏の勉強会から、次のようなポイントを挙げています。


この本は、1936年から37年の日本政治を分析する中で、「改革」と「戦争」の関係について興味深い指摘をしている。すなわち、1.そのころはまだ民主的言論があったこと、2.当時の陸軍につながる体制改革派は同時に国防を指向し、労働者階級の社会大衆党もこれに同調していたこと、3.軍部批判で著名な民政党斎藤隆夫は案外、社会改良に冷淡だったこと−などの点を挙げつつ、坂野さんは「構造改革の旗振り役の小泉首相自衛隊の派遣に一番熱心なのは当時を想起させる」「いわゆる抵抗勢力自衛隊イラク派遣に反対している姿は約70年前の斎藤隆夫と類似している」と述べている。
というもの。つまり、改革と戦争がセット、だったわけですね。たまたま似ているだけかもしれない。しかし、上にあるように社会の中の閉塞感が高まると、普通にやっていては逆転不可能ですから、「何でもいいから楽しいことないかなぁ」と思う人が増えれば増えるほど、構造改革」や「海外派兵」で一発逆転をねらう(無意識にでも)人々、特に若者が増えるようでなりません。

もしそういうメカニズムが動き出していたら、近い将来、とても暗いですね。「勝つものがもっと勝つ」じゃない社会に向かわないと、不満がたまる一方です。


(それにしても、朝日新聞はこうしたコラムをいつかオンラインにしてくらないものか・・・)