発電所を各自もってた時代があった

quelo42005-03-23


「コモディティ化の彼方に--IT業界を待ち受ける『明るい未来』」 に書いてあるんですけど、電気が最初発明された頃は、発電というのはオーダーメードなものだったらしい。だから、一般の家庭まで電気が来るのを待つことはもちろんのこと、工場などでいち早く電気が必要なところは、まず自分のところで発電設備を作り、発電担当の技術者を専門においておく、ということをしたのだそうです。

John Pierpont MorganやWilliam Henry Vanderbiltが住んでいたマンハッタンの大邸宅など、1880年代半ばの大半の高級住宅には、自家用発電機が設置されていた(しかも発電機を操作するのに、高度な訓練を受けた技術者が常駐していた)。


企業のなかには「電力担当主任」を雇って、社内で使用する電力の管理に当たらせたところもあった(Kodakは自前の発電所を建設した初期の企業のひとつだが、驚いたことに同社は現在でも高価な石炭を年間約70万トンも使用して、ニューヨーク州ロチェスターの本社にある2つの発電所を稼働している)

これ知ってました? 
「多くの重要な技術の歴史を振り返ってみれば、個別化→標準化→ユーティリティ化という、3つの発展段階を経ていることが分かる」、のだそうです。

電力が、価格の透明性と信頼できるサービス品質を備えたコモディティとみなされるようになったのは、第3段階--すなわち「ユーティリティ化」の段階に入ってからである。この段階になってようやく電気のもたらす恩恵が世界中に行き渡った。そして、電力が個別化段階から標準化段階、さらにはユーティリティ化段階に移行するのに合わせて、2つの変化--すなわち、遍在性の向上と大幅なコストの低下が起こった。電球や工業用モーターだけでなく、電気で動くあらゆるものが発明され、すべての人々に電気の本当の価値がもたらされた。


1930年までに、米国では中規模都市でも電気の普及率がほぼ100%に達した。1910年から1940年の間に、電力がコモディティとして普及したおかげで、米国の生産性は300%増加し、以前には思いもつかなかったような産業が莫大な富を生み出すようになった。


 IT産業はまだまだ成熟期には達していない。ようやくいまユーティリティ化の初期段階に入ったところである。もう少し経てば、ネットワーク帯域幅とコンピュータの処理能力が、ユーティリティとして、必要なときに必要な場所で利用できるようになるだろう。

つまりは、コンピュータもオフコンスパコンの時代は個別にすべてを処理していたものが、インターネットのおかげでかなり標準化が進んできたものの、もう一息。このあと、ユーティリティかが進めば、コモディティ=一般商品として、電力のように爆発的な生産革命をもたらす、ということです。


いや、科学技術史って面白いですねぇ。ちょっと昔を振り返ることで、ちょっと先の大変革を、かなりリアルに見渡せるようで。もちろん負の影響もあるでしょうが、いまがコモディティ化の一歩手前、と見るならば、このあと、あっと驚くように世の中変わりますね、確かに。