会社は誰のもの?の愚



16日付のJapan Mail Magazine は、「ライブドアによる株式買収劇から学ぶべきものはあるか?」というタイトルで、寄稿家の皆さんが書いています。その中で、楽天証券研の山崎元さんの解説がいつものようにすっきりして面白い(これはネットでは読めない)。


基本的には、ライブドアの株主はけっこう損、ホリエモンは1200億ほどのキャッシュを手にして経営者としてはOK、フジとニッポン放送の経営者はその無能さがさらけ出され、会社としてのフジも損、一方で、リーマンは大もうけ、ソフトバンクインベストメントも中儲けくらいだそうです。


その最後に、この議論の中で会社は誰のものか?という議論が噴出したことについて一言あります。

 最後に付け加えますが、今回の騒動がきっかけとなって、「企業(会社)は誰のものか」という問が方々で立てられていますが、これは問自体が不正確であるがゆえに機能していません。


 会社はだれかの「もの」になるような別個の独立した存在ではなく、契約の束です。残余資産の分配に於いて、労働債権が一般債権者や株主の権利に優先するような局面にあっては、会社の資産は従業員のものですし、お金を払っているからといって従業員を文字通り好きに使うことは出来ません。債権者には債権者の、株主には株主の、さらに取引先には取引先の権利や義務があるのですから、これを一括りにして「会社は誰のものか」と問うことは不正確なのだと思います。

なるほど〜、だと思いません? 私は単純に「会社は株主のものなのに、日本の経営者は、全然分かってない!」と思っていましたが、落ち着いて考えると、ことが起こったときにさまざまな債権債務関係が起こるわけですね。まったく上に書いてあるとおり。設問自体が不十分なときに、いくら議論をしても何も得るものがない、という典型例だと思いました。