草の根ジャーナリズムのスーパースター、来日

quelo42005-09-27



渡辺聡氏のブログ、【渡辺聡・情報化社会の航海図】2005年09月27日 13:06「■ダン・ギルモア氏来日:草の根ジャーナリズムの未来」で、ブログによるニュース配信で一躍、有名かつ、重要人物となったギルモア氏の講演について、とくに時事通信湯川鶴章氏との対話について紹介されています。<一匹狼、もとい一匹キリン的草の根参加型ジャーナリストの時代?>


主なポイントを渡辺さんは次のように書いています。

終わってから一通り考えを深めていたが、彼のエッセンスはこの二文に集約されるのではないだろうか。

  • メインストリームのジャーナリズムは生き残って欲しい。
  • 天下国家を論じることだけがメディアでありジャーナリズムではない。身の回りのことでもそれを大事と思う人がいるのであれば立派なジャーナリズムと言える。


前者は、既存のメディアかBlogか、どっちが勝つのかという対立構図で整理された議論とは立場が異なっている。補完関係になっていく、湯川氏が会場で「Long Tailのようなものかも」とコメントをされていたが、役割分担を進めていくという見方をしている。

つまり、ブログによるジャーナリズムとマスメディアとの棲み分けが起きる、というのがギルモア氏の主張のようで、それに対して湯川氏は「滅び行くマスメディア」というコンテクストの主張のようです。この対比を、既存メディアを、ギルモア氏はmainstream media(主要メディア)と呼ぶのに対し、湯川氏はlegacy media(古くさいメディア)と呼んでいることが象徴しているようです。


多分、湯川さんは、自身、現役の時事通信記者なので、自嘲気味に大メディアはダメだ、と主張するのかもしれませんが、現場にいると、やっぱり大手メディアの力は重要です。その組織力と資金力、記者個人の実力は、ふつう行けないところに人を送り込んだり、そこからレポートを送ることを支援します。その意味で、未組織記者にはとうていたどり着けない取材は可能で、権力チェックの意味で、大手メディアは大物●●家を監視するために、大事かな、と思います。


「ジャーナリズム」ということばの意味が、話し手によって相当違うように使われている、ということも論点に上ったようですが、私の感じでは、目の前の出来事を広く世間に伝えていこうとするジャーナリストが多数存在し、その人が大組織にいるか、一匹狼で活躍しているか、の違いだけかな、という印象です。その2カテゴリーの往復は十分あり得るし、その間に“編集者”という役割もあるかな。