右派論客の嘆き

quelo42006-04-05



産経OBで、『諸君』などにも寄稿する政治アナリスト、花岡信昭氏が、ネット上での論争に巻き込まれ、辟易としています。nikkeibp.jp mail朝刊、2006/04/05、「花岡信昭:これでいいのか、ブログ世界の理不尽な未成熟さ」より。<写真が問題?のシーン>

 この1カ月ほど、ブログの世界で大騒ぎになった問題を紹介したい。おそらく、ブログを日常的にのぞく習慣のない人は知らないのではないか。一般のメディアでもまったく報じられなかったからだ。
 総務省の予測によると、2007年3月末で、ブログの利用者は782万人、閲覧者は3455万人に達する見込みという。ネット社会の中軸たるべき存在となっているのだが、その実態たるや、きわめて陰湿、低次元でお粗末きわまりない。匿名で罵詈雑言、誹謗中傷を浴びせあう世界となっているのである。


 筆者はそれを身を持って体験した。いまだにブログの世界の一部では、相当に理不尽な人間として扱われているようだ。「ものかき」を中心とした仕事をしているから、よくも悪くも話題になるのは結構なのだが、それにしてもブログの世界の水準はひどすぎる。アメリカのようにブログがジャーナリズムの一角を占める時代は、日本には来ないのではないかとすら感じている。

え〜、相当頭に来ている様子が分かります。
何が問題だったのかというと、トリノ五輪の中継をめぐるNHK「偏向」批判があって、女子フィギュアで荒川静香選手が優勝、日の丸を身にまとって華麗にウイニングランをした映像がその直前に切り替わり、「NHKは荒川が日の丸を手に取った瞬間に画面を切り替えて、国旗を映さないようにした。明白な偏向だ」という主張がネット上(+NHKへの抗議電話)で飛び交った、のだそうです。


そんな話自体初耳ですし、まあ、右派はこういうことにこだわるんだなぁ(こだわりそうですが)、という静かな驚きがあります。さて、さらに騒ぎは発展し、花岡氏はNHKの知人に事情を確認、「この放送は国際映像なため、映像の切り替え自体NHKの責任ではなく、単なる偶然」、とネット上で書いたのだそうです。ところがこれに対し猛抗議が寄せられ、上の「誹謗中傷、罵詈雑言」になったのだそうです。


憲法自衛隊、日中・日米関係など、みぎひだりが口角泡とばすテーマはあまたあって、それ自体、しっかりロジックを駆使して議論すればいいし、双方の専門家がきっちり情報提供してくれながらの議論は、その中間にいる人々に絶対に参考になると思うのですね。そういう空間を提供するのは私たちの仕事だと思っています。
ただ逆に、無意味にヒートアップすることが多くて、右派論客がちょっと足りないなぁ、と思わされる場面があります。そういうなか、この花岡氏のフラストレーション、分かるなぁ、と思った次第、です。