いいなぁ、こういう仕事の仕方ができる人
NHKのプロフェッショナルに出てくる人の話と、それを引き出す茂木さんの「脳中心」の整理の仕方が、とても新鮮に思い、よく見ています。今回は、こんな人。「『子供』であり続けるための方法論 〜絵本作家 荒井良二〜、2007年12月11日 火曜日 茂木 健一郎」
今回ゲストの荒井さんの仕事の様子はこういうふうになるらしい。「創造的であることは子供であり続けることだ。これは我々脳科学を研究する人間の間では、なかばコンセンサスだが、問題はそれを実現する方法論だ。そのためには、習熟するのではなく、わざとやりにくくしたり、ぎこちなさをわざと演出するという方法論に出会えたのが、大きな収穫だった」
わざと、意図的に、子どもであり続けることが必要なわけですね。
スタジオで荒井さんが絵を描いているのを間近に見ていて、驚いたことがある。まず描くのが圧倒的に速い。その場で何を描くかを考えている。しかも「脳」ではなく「手」で考えている。我々は、理論的に「脳は手で考えている」と言うけれど、それを本当に間近で見た。
描いている途中で「これはちゃんと着地するのか」と不安に思っていたところが面白かった。「創造」というのは必ず、不安な状態が通過点としてある。拡散していく思考と収束していく思考をせめぎあわせている。これは非常に普遍的な話だ。大抵は、その不安に耐え切れず、すぐに思考を収束させてしまいがちだ。それを、そう簡単には収束させないであえて拡散させ、最後は収束させる。
そのせめぎあいから新しいクリエイティビティが生まれる。これは非常に実践的な話だ。実はかなり高度なクリエイティビティの技を、今回は見せていただいた。それは、「感性」ということよりも、「技」であり「方法論」なのだ。