新しい在り方の尊重に、新しい言葉

quelo42008-08-03



 最近、というか数年前から、記事中に「ダブルの子どもたち」という表現を使っています。これは、以前(というか、今でも一般的には)「ハーフ」と呼ばれている人たちのことを指して使っている言葉です。つまり、両親が違う国籍を持っている人、多くの場合、日本人と外国人配偶者の間の子どもたち、というときに使われます。
 思想としては、「ハーフ」というのは、どうも「普通の半分」というニュアンスが感じられ、そこに必ず差別的なニュアンスが含まれるので、言葉としては避けたい、という気持ちがあります。そこで、半分じゃなく2倍なんだ、という考え方で「ダブル」という表現を使おう、ということになったわけです。確かに、私の周りにも、ラテン系と日本人の夫妻の子どもなど、まったくのバイリンガルで成長していて、そういう意味では、両方の文化背景を「ダブル」に受け継いでいる、といえそうです。


 ところがこの言葉、NGO市民運動あたりで発明された言葉だと思われますが、イマイチ定着しません。その理由も分かりませんが、「ハーフ」というのもあまり言われなくなっている印象もありますが、総かといって、「ダブル」という言葉を聞くこともあまりないような。そこで先日テレビで見た新しい言葉、「ミックスルーツ」というのはいいなあ!と思ってます。
 サイトがあります。「MixRoots Japan ● ミックスルーツ・ジャパン 多文化共生&多ルーツ尊重・表現ネットワーク」。この下の方のニュースで、NHK「日本の現場」で紹介されたことが述べられています。

 7月19日(土)夜10時半から「ドキュメンタリー:日本の現場」

 ミックスルーツ関西及び芸術表現部門担当のミシュリングルーブが企画し、主催している「Shake Forward!(シェイクフォワード!)」の取り組みの第1弾である多ルーツヒップホップチャリティ、2008年6月8日に川崎クラブCitta(チッタ)で開催されたライブの一部始終、アーティス達の想いや地域の子ども達との触れ合い、若き多ルーツアーティスト達のインタビューを含めたドキュメンタリー7月19日(土)午後10時25分からNHK総合放送の「ドキュメンタリー日本の現場」にて放送されます!乞うご期待!


この番組、見ましたが、やっぱり「ダブル」である自分たちが、苦労している状況を共有しつつ、一般の、街の人に向けて自分たちのことをアピールしていこう、という動きがいいなあと思いました。この「当事者感」がいいなあ、と。「ダブル」は、想像するに、支援者がつけた言葉かもしれない。一方で、この「ミックスルーツ」が自分たちで腑に落ちた言葉だったら、じわじわ広がるんじゃないかな。「半分」か「2倍」か、量を争っているようじゃなくて、「混ざってる」ことを素直に表現する感じが、いいセンスだなあ、と思っている次第です。